
「マルウェアに感染したので駆除してほしい」というご相談で、最初に聞かれるのが費用です。ただ、駆除の見積もりは作業範囲によって金額が数倍変わるため、単純な比較が難しい分野でもあります。この記事では、相場の考え方と、見積もりを取るときに確認すべき点を整理します。
この記事でわかること
- 駆除費用が何によって決まるのか
- 金額帯ごとの作業範囲の目安
- 見積もりで必ず確認すべき5項目
- 安すぎる見積もりに潜むリスク
- 依頼前の準備で費用を抑える方法
目次
- 費用は「サイト規模」ではなく「調査量」で決まる
- 費用帯ごとの作業範囲
- 見積もりで確認すべき5項目
- 安すぎる見積もりのリスク
- 費用を抑えるためにできる準備
- 駆除して終わりではない
- まとめ
費用は「サイト規模」ではなく「調査量」で決まる
まず前提として、マルウェア駆除の費用はページ数やデザインの複雑さではほとんど変わりません。100ページのサイトでも10ページのサイトでも、感染状況が同じなら作業量は大きく変わらないためです。
金額を左右するのは次の3点です。
侵入経路の特定が必要かどうか
最も影響が大きい要素です。ログが残っており、原因が明確(古いプラグインの既知の脆弱性など)であれば調査は短時間で済みます。一方、ログが消えている、複数の可能性がある、という場合は調査に時間がかかります。
感染範囲
1サイトのみか、同一サーバー内の複数サイトに広がっているかで作業量が変わります。共用サーバーで複数サイトを運用している場合、1つが感染すると他へ移動していることが少なくありません。
再発案件かどうか
過去に一度駆除している場合、より深い調査が必要になります。前回の対応で取りこぼしたバックドアが残っている可能性があり、通常より慎重な確認が求められるためです。
費用帯ごとの作業範囲
一般的な相場を、作業範囲とあわせて整理します。
3〜5万円程度
単一サイトで、侵入経路が明確、ログが残っている場合です。不正ファイルの除去、本体・プラグインの入れ替え、パスワード変更までが標準的な範囲になります。
5〜15万円程度
侵入経路の調査が必要なケースです。ログの解析、データベース内の不正コード除去、Google への再審査申請までを含むことが多い価格帯です。実際のご依頼で最も多いのがこの範囲です。
15万円以上
同一サーバー内の複数サイトへの感染、個人情報流出の可能性がある場合の調査、再発案件などです。調査の比重が大きくなり、報告書の作成まで含むことが一般的です。
見積もりで確認すべき5項目
1. 侵入経路の調査は含まれるか
最重要の確認事項です。含まれない場合、不正ファイルは消えても穴が開いたままになります。数日から数週間で再発する可能性が残ります。
2. データベース内の駆除も含まれるか
ファイルだけの駆除では不十分です。記事本文やオプション設定に不正コードが残っていれば、改ざんされた状態が続きます。「ファイルのスキャンと駆除」としか書かれていない見積もりは、この点を確認してください。
3. 再発した場合の保証はあるか
保証の有無と、その期間・条件を確認します。「駆除後30日以内の同一原因による再発は無償対応」といった形が一般的です。
4. 作業報告書は出るか
何が原因で、何を行ったかの記録です。エンドクライアントや取引先への説明が必要な場合、これがないと説明できません。個人情報を扱うサイトでは特に重要です。
5. Google の警告解除まで対応するか
検索結果に警告が表示されている場合、駆除後に Google へ再審査を申請する必要があります。この対応が別料金になっていることがあります。
安すぎる見積もりのリスク
1万円以下といった極端に安い見積もりの場合、多くは不正ファイルの削除だけで、侵入経路の調査が含まれていません。
この場合に起こりやすいのが次の流れです。
- 不正ファイルが削除され、表面上は正常に戻る
- 侵入経路が塞がれていないため、再び侵入される
- 数日〜数週間後に同じ状態に戻る
- 再度依頼するか、別の業者を探すことになる
結果として、最初から調査を含む依頼をした方が安く済むことになります。比較すべきは金額そのものではなく、金額あたりの作業範囲です。
費用を抑えるためにできる準備
依頼前に次を用意しておくと、調査時間が減り、結果的に費用も下がります。
- サーバーのアクセスログ(消える前に確保。多くのサーバーは数週間で消えます)
- 異常に気づいた日時と、その時の具体的な症状
- 直近の作業記録(プラグインの追加、テーマの変更、制作会社による作業など)
- サーバーと WordPress の管理情報
- バックアップの有無と、取得できている期間
逆に、自己流で復旧を試みた後だと費用は上がります。上書き更新や再インストールを行うと痕跡が消え、調査が難しくなるためです。おかしいと感じた時点で、作業を止めて相談する方が結果的に早く安く済みます。
駆除して終わりではない
駆除費用だけを比較しがちですが、本当のコストは再発です。駆除後に何をするかまで含めて検討してください。
最低限、次の3つは必要です。
- 本体・プラグイン・テーマを最新に保つ運用 — 侵入経路の大半がここです
- 管理画面のアクセス制限 — ログインURLの変更、試行回数の制限
- 定期的なバックアップと改ざん検知 — 戻せる状態と、早く気づける状態
特に3番目は、次に何かあったときの復旧費用を直接下げます。侵害前のバックアップが世代で残っていれば、戻す先があるため作業が大幅に短縮されます。
まとめ
- 費用はサイト規模ではなく、調査量で決まる
- 相場は3〜15万円。侵入経路の調査を含むかで大きく変わる
- 安すぎる見積もりは、削除のみで再発リスクが残る
- ログの確保など、依頼前の準備で費用は下がる
- 自己流の復旧を試みた後は、かえって費用が上がる
WordPressレスキューでは、駆除だけの単発対応と、駆除後の保守までを含めたプランの両方をご用意しています。まずは現状をお聞かせいただければ、必要な作業と概算をお伝えします。

