
WordPress管理画面の「ツール → サイトヘルス」に表示される警告や推奨事項は、サイトの安全性・パフォーマンス・運用上の問題点を端的に教えてくれる重要な機能です。本記事では、よく表示される警告の見方と、それぞれの解消方法を整理いたします。
この記事でわかること
- サイトヘルス機能の役割と重大度の見方
- 「重大な問題」「推奨される改善」それぞれの優先順位の考え方
- 頻出する10種類の警告とその解消手順
- 解消後の再チェックと運用ルーティン化のコツ
目次
- サイトヘルスとは何か
- 警告の重大度区分の見方
- 頻出する警告10種類と解消方法
- 「サイトヘルス情報」タブの活用
- 運用ルーティンへの組み込み
- 関連事例としての学び
- まとめ
サイトヘルスとは何か
サイトヘルスは、WordPress 5.2以降に標準搭載されている自己診断機能でございます。管理画面の「ツール → サイトヘルス」から開けます。サイトの設定・サーバー環境・プラグインの状態をWordPress自身が定期的にチェックし、改善が必要な項目を一覧表示してくれます。
多くのサイトでは、ログイン後に管理画面ダッシュボードの上部に「サイトヘルスのステータス」として、対応すべき項目数が表示されています。放置すると、セキュリティリスクの蓄積やパフォーマンス低下に直結する項目も含まれるため、定期的に確認する習慣をつけることをおすすめいたします。
WordPressがチェックする領域
サイトヘルスは、おおよそ次の5領域を診断対象としています。
- WordPress本体・テーマ・プラグインのバージョンとサポート状況
- PHP・MySQLのバージョン互換性
- サーバー上のHTTPS・ファイル権限・必要なPHP拡張モジュールの有無
- REST APIの動作確認
- 定期実行(WP-Cron)の動作確認
警告の重大度区分の見方
サイトヘルスが提示する警告は、大きく2つの重大度に分類されます。
重大な問題
赤いラベルで表示される「重大な問題」は、放置するとサイトの機能や安全性に直接的な影響が出るものです。具体的には、WordPress本体やPHPがセキュリティサポート切れである、SSL証明書が無効である、サイトヘルス自体の自動チェックが動作していない、といった項目が該当いたします。
これらはサイトのダウンや改ざんリスクに直結するため、最優先で対応すべき項目でございます。
推奨される改善
橙色のラベルで表示される「推奨される改善」は、即座にサイトを止めるほどではないものの、対応した方が望ましい項目です。古いPHP拡張モジュールの未使用、特定の権限設定、運用面の推奨事項などが含まれます。
すべてを完璧に「合格」状態にする必要はありませんが、半年に1度程度は内容を確認し、対応可能な項目から着手することをおすすめいたします。
頻出する警告10種類と解消方法
① PHPバージョンが古い
「サイトで古いPHPのバージョンが使用されています」と表示される警告です。WordPressコアが推奨する最新のPHP(執筆時点で8.1以上)よりも低いバージョンを使用している場合に表示されます。
解消方法は、サーバー管理画面でPHPバージョンを切り替えることです。ただし、利用中のテーマ・プラグインが新バージョンに対応していることを事前に確認する必要があり、検証環境での動作確認をおすすめいたします。
② 必要なPHP拡張モジュールが見つからない
imagick、intl、zipなどのPHP拡張モジュールが不足している場合に表示されます。サーバー会社のコントロールパネルで該当モジュールを有効化するか、サーバー管理者に依頼することで解消できます。
③ WordPress本体の更新が止まっている
WordPress本体の自動更新が無効化されている場合に表示されます。wp-config.phpに次の記述が含まれていないかを確認してください。
define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', false);
意図的に自動更新を止めている場合を除き、trueまたはminorに変更することで解消できます。
④ プラグイン・テーマの更新が遅れている
更新可能なプラグイン・テーマがある場合に表示されます。管理画面の「ダッシュボード → 更新」から最新版を適用することで解消します。本番反映前に検証環境での動作確認を強く推奨いたします。
⑤ HTTPSが正しく動いていない
サイトがHTTPSで提供されていない、または混在コンテンツ(http://画像など)が含まれている場合に表示されます。常時SSL化の手順については、別記事「WordPressサイトの常時SSL化を完了させる手順」をご参照ください。
⑥ REST APIが動作していない
サイトヘルスがREST APIにアクセスできない状態を示します。セキュリティプラグインがREST APIを過度に制限している、または.htaccessでブロックされている場合に発生いたします。SiteGuard WP Pluginの「REST API制限」設定や、サーバー側のWAF設定をご確認ください。
⑦ ループバック要求が失敗している
WordPress内部の自己通信(ループバック)が失敗している警告です。WP-CronやWP Editor内の機能に影響します。Basic認証によるアクセス制限が原因であることが多く、wp-config.phpに認証情報を環境変数として渡すことで解消できる場合がございます。
⑧ スケジュールイベントが実行されていない
WP-Cronが動作していない、または遅延している場合に表示されます。原因は、サイトへのアクセスが少ない、wp-cron.phpがブロックされている、などです。サーバー側のcronで定期的にWP-Cronを呼び出す方式に切り替えることで安定化できます。
*/10 * * * * curl -s https://example.com/wp-cron.php?doing_wp_cron > /dev/null 2>&1
⑨ デフォルトテーマが見つからない
WordPressデフォルトテーマ(Twenty Twenty-One等)がインストールされていない場合に表示されます。万一現在使用中のテーマで問題が発生したときに、フォールバック先がない状態となるため、少なくとも1つはデフォルトテーマを残しておくことが推奨されます。
⑩ サイトヘルスチェックが自動実行されていない
サイトヘルス自身の定期チェックが動作していない場合の警告です。原因はWP-Cronの不調が多いため、上記⑧と関連して対応することで解消いたします。
「サイトヘルス情報」タブの活用
サイトヘルス画面の上部には「ステータス」と「情報」の2つのタブがございます。「情報」タブには、WordPressのバージョン、PHP・MySQLのバージョン、有効プラグイン一覧、サーバー環境などが詳細に表示されます。
このページの右下にある「サイトヘルス情報をコピー」ボタンを押すと、すべての情報をテキストとしてクリップボードにコピーできます。トラブル発生時に外部の専門家に相談する際、この情報を共有するだけで状況把握が大きく短縮できます。弊社へのご相談時にも、このコピーをいただくとスムーズに調査着手いたします。
運用ルーティンへの組み込み
サイトヘルスは「気づいたときに見る」よりも、定期的なルーティンに組み込むことで効果を発揮いたします。弊社が支援しているクライアントサイトでは、次のような頻度でチェックを実施しております。
- 月次:管理者が一度サイトヘルスを開き、新規警告がないか確認
- 四半期:「重大な問題」「推奨される改善」をすべて棚卸し、対応・記録
- WordPress本体のメジャーアップデート直後:新たな警告が出ていないか確認
- サーバー移転後:環境差異による新規警告の有無を確認
月額保守プランをご利用いただいているお客様の場合、これらの確認・対応はすべて弊社で実施し、月次レポートとしてご報告する形でご対応しております。
関連事例としての学び
弊社が過去に対応したケースで、サイトヘルスに「ループバック要求が失敗している」という警告が表示され続けていたサイトがございました。当初は警告自体は実害がないと判断され放置されていましたが、ある日、管理画面でブロックエディタを開いたときに保存処理が動かなくなり、編集作業が一切できなくなる事象が発生いたしました。
調査の結果、開発期間中にサイト全体にBasic認証をかけていたものの、その認証情報がループバック通信に反映されていなかったことが原因でした。wp-config.phpに次のような記述を追加して、WordPress内部の通信時にBasic認証情報を付与する形で解消いたしました。
// Basic認証下でのループバック対策
add_filter('http_request_args', function($args, $url) {
if (strpos($url, 'example.com') !== false) {
$args['headers']['Authorization'] = 'Basic ' . base64_encode('user:password');
}
return $args;
}, 10, 2);
本事例から学べることは、「サイトヘルスの警告は、その時点では実害がなくとも、将来的な不具合の予兆である可能性がある」という点です。警告内容を理解しないまま放置するのではなく、影響範囲を把握したうえで対応の優先度を決めることが大切でございます。
まとめ
サイトヘルスは、WordPress自身が用意してくれている「無料の健康診断」です。月に一度開いて確認するだけで、サーバー環境の劣化、プラグインのサポート切れ、設定漏れなどを早期に発見できます。
すべての警告をゼロにする必要はございませんが、「重大な問題」は即時対応、「推奨される改善」は計画的に対応する、という原則を守ることで、WordPressサイトの長期的な安定運用が可能となります。
サイトヘルスの警告内容について判断に迷う場合や、対応に技術的な知識が必要な項目については、無理に対応せず、サイトのバックアップを確保した状態でご相談いただくことをおすすめいたします。


